火山の話

Nature

Webから、未だ固まっていないハワイの溶岩の写真をお借りしました。https://4travel.jp/travelogue/10072123
溶岩の粘性は 温度と二酸化ケイ素の含有量で決まるそうです。 高温であるほど,二酸化ケイ素の入っている 割合が小さいほど,粘性は小さく流れやすいため,溶岩は広範囲に広がって傾斜の小さな火山を形成します。

マグマは二酸化ケイ素(SiO 2)の含まれる割合によって分類され,その割合の少ない順に玄武岩質マグマ,安山岩質マグマ,流紋岩質マグマと名づけられている。それぞれの境界は 52 %と 66 %です。ハワイのペレの溶岩は、二酸化ケイ素(SiO 2)の少ないトロトロの溶岩で玄武岩質、黒い溶岩です。

火山の形状によって、アスピーテ・トロイデ・ベロニーテ・ホマーテ…とうるおぼえですが、記憶にあります。

これは、1911年にドイツ人のシュナイダーが火山を地形によって7つの基本形に分類したもので、アスピーテ(Aspite)は盾状火山で、トロイデ(Tholoide)は鐘状火 山 と訳されていますが溶岩ドームと同じです。これらの用語は地理の分野では まだ使われているようですが、火山学の分野では今はほとんど用いません。もはや日本と韓国以外ではこれらの用語は使っていないらしく、インターネットで 検索しても2国以外は引っかかりません。

中田節也(東京大学・地震研究所・火山センター)

日本の中学校では溶岩の粘性によって楯状、成層、釣鐘状火山の3つに分類していますが、外国ではFissure, Shield, Dome, Ash-Cinder, Composite, Calderaなどに分けて教えられているようです。

昔はもっぱら火山の地形だけで分類していました.例えばシュナイダー(1911)のコニ ーデ,トロイデといった分類は今でもマスコミや観光地の説明などで残っています. しかし今は表面の地形だけでは,その火山の成り立ちを必ずしも反映していないこと がわかってきたので,シュナイダーの分類は学術用語としては使われません.現在で は内部構造により注目した,成層火山,盾状火山などの用語が使われます.

釣鐘状火山というのは火山学用語では使われません.おそらく溶岩ドームのことだと 思いますが,粘性の大きなマグマが爆発的な噴火をすることなく地表に噴出してでき ます.有珠山の昭和新山や雲仙の平成新山が典型例です.マグマが地下を移動すると きは板状になって移動すると考えられていますが,この板状のマグマが地表に達する と,割れ(Fissure)噴火を起こします.粘性の低いマグマの噴火に多く見られます. 1983年の三宅島噴火がその例です.

カルデラ(Caldera)は,噴火や崩壊でできた大きな火口状地形のことで,おおよそ直 径1.6-2km以上のものをいいます.大量のマグマが爆発的な噴火で一気に噴出してで きたもの(例:阿蘇カルデラ)や,噴出物は多くないが地下でどこかにマグマが移動し てしまってできたもの(例:2000年三宅島噴火のカルデラ)などがあります.

これらの火山の形の違いは,どんな噴火様式で,どんな噴出物を,どのくらいの噴出 率で噴火するかで決まってきます.その噴火様式を決める大きな要因としてマグマの 粘性がある,と理解されればいいかと思います.なお,Q&Aの#3010にもありますよう に,自然は完全に分類できるものではなく,中間的なもの,複合したもの,例外的な ものが少なからず存在します.学校の先生にはマグマの粘性だけで一意に火山の形が 決まるわけではないということも,頭の片隅にでも記憶にとどめておいていただけると幸いです.

川邉禎久(産業技術総合研究所・地球科学情報部門)http://www.kazan.or.jp/J/QA/topic/topic22.html


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