沖縄美ら海水族館 2002

Architecture

設計は、1995年に行われたプロポーザルコンペで、国場幸房+国建(くにけん)に決まりました。高さ8.2m×幅22.5m×厚さ60cmの巨大アクリルパネルは、香川県の日プラが制作したもので、当時世界一の大きさで、ギネス世界記録に認定されました。

大水槽の巨大アクリルパネルは、基本計画ではパネルに4本の補柱を建てることが決まっていたそうです。しかし、建築家の国場さんは「一枚の大型パネルで沖縄の海を表現したい」と、技術者に話を聞いてまわり、当時、日プラ(香川県)が鹿児島県の水族館で補柱のない大型パネルを手掛けたことを知り、早速現場を見に行ったそうです。国場さんはこの時のことを「可能性が見えたので、どうしても実現したくなった。皆もそれを期待するものと信じた」と記しています。大水槽の片隅にアクリルパネルのサンプルが展示されていました。大水槽は、国場さんの提案で上部にトップライト(天窓)を設け、自然光を取り入れるようになっています。また、アクアルームは、基本計画では水中トンネルだったものを、国場さんが「トンネルだとゆっくり観賞できない」と、座って観賞できるアクアルームに変更したそうです。

沖縄美ら海水族館では、入り口までの動線にエスカレーターが設置されていますが、実施設計のときにはアプローチのエスカレーターはなく、変更の依頼で設置されたものです。着工してからの変更の依頼を受けて、国場さんはエントランス上部のパーゴラやレストランの変更も提案したそうです。

「国場幸房さんは『公共建築には皆が集えるパーゴラ空間が必要だ』と、細部までこだわっていた。当初パーゴラは、現場打ちコンクリートで造る予定だったが施工が難しいなどの課題があった。そこでPC(工場で製造したコンクリートパーツ)にし、デザインも細めに変更した」。

https://sumai.okinawatimes.co.jp/commons/special/detail/8957 国建・守谷健氏

それが完成した水族館の玄関口である「海んちゅゲート」です。空と海へ視線が抜けるそこで、沖縄の自然美を味わう。「エントランスは、その先への期待を膨らませる場所でなくてはならない」との国場さんの言葉通りの空間となっています。

巨大建築なので全体の姿が解りにくい建物ですが、google で上から見るとその構成がよくわかります。全体に公園の景観に配慮し、ボリュームを小さく見せるため屋根を細分化してあります。設計者によると、マンタの群泳をイメージさせるデザインにしたとのこと。マンタの中央部分はトップライト(天窓)になっていて、ここから水槽へ自然光が注いています。

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