名護市庁舎 1981

Architecture

象設計集団は、沖縄における建築とは何か、市庁舎はどうあるべきかという、コンペの課題に対して、次の様なテーマを設定し、それから形姿としての解答を導き出しました。名護市庁舎は、1982年 日本建築学会賞、2011年 第10回日本建築家協会25年賞を受賞しました。象設計集団が設定したテーマは以下の3つです。

  • 新しい市庁舎のありかたを求める。
  • 沖縄の気候、風土を捉える。
  • 沖縄の質感を表現する。

象設計集団は、市民に開かれた市庁舎にするために、使う人々の生活環境との連続性を確保しました。前面の芝生広場から、テラス、ロビー、事務室へと、内部空間と外部空間が連続しています。
広場や各階にあるアサギ・テラスは、いつでも、だれでも利用できる空間となっていて、庁舎の中に、街の一部が入り込むような姿を実現しました。

沖縄の気候、風土を捉えた建築表現は、街の中でたくさん見ることができます。名護市庁舎でも、アサギ型ルーバー、花ブロックのスクリーンなどによる遮光、最上階の土による断熱、風のみちによる通風、夜の放熱などの工夫がなされています。これらは、パッシブデザインそのもので、地域の持つ潜在的な資源の活用です。

象設計集団は、農村から都市まで、コンクリート、コンクリート・ブロック、土、木、緑などの素材によって覆われている沖縄の質感から、コンクリート・ブロックを代表にして、その多様な使い方を学び、沖縄の質感を映し出すことを試みました。沖縄におけるコンクリートと、コンクリート・ブロックは圧倒的量で都市を埋めている材料で、その技術には極めて進んだものがあります。

象設計集団は、柱のブロック、花ブロック、平板ブロック等の使用について、その技術的ストックがあってはじめて可能であった…と解説しています。

かつて、名護市庁舎の南側壁面には56体のシーサーが設置されていました。ちょっと残念でしたが、2019年3月、安全性の観点からすべて撤去されたそうです。56体のシーサーは、建築に複雑な影を落とし、建物をやわらかくして親しみやすい豊かな表情を演出していました。

How architecture learn after they’re build.

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