今帰仁村中央公民館 1975

Architecture

今帰仁村(なきじんそん)中央公民館は、象設計集団の設計です。象設計集団は、代表建築家として樋口裕康、富田玲子 が名前を連ねる事務所で、七つの原則を掲げています。

  1. 場所の表現◎Expression of Place◎在地性的表現
  2. 住居とは何だろう? 学校とは? 道とは?◎What is a House? What is a School? What is a Road? ◎何謂住家? 何謂學校? 何謂道路?
  3. 多様性◎Diversity◎多樣性
  4. 五感に訴える◎Sensory World◎訴諸五官感受
  5. 自然を受けとめ、自然を楽しむ◎Enhancing and Enjoying Nature◎接受自然、享受自然
  6. あいまいもこ◎Aimaimoko◎曖昧模糊
  7. 自力建設◎Exertive Building◎自力建設

今帰仁村(なきじんそん)中央公民館は、コンクリートブロックで化粧された500角、2,250mスパン、277本の列柱、RC打放しの大屋根で構成される空間で、沖縄古来の建築物「アサギ」と同様に屋根と柱だけで構成されています。竣工当時は、屋根一面を覆ったパーゴラに這わせたウッドローズやブーゲンビリアが季節の表情を豊かに彩り、乙羽岳からの緑の連続となって、新たな町への緑のスプロール拠点として機能していました。メンテナンスの都合でパーゴラは撤去され、打ち放しの分厚い屋根スラブが太陽の下とても熱そうでした。

床に埋められた貝の模様は、ひとつひとつ、それを埋め込んだ村の人と子供たちの様子を今に伝えています。象設計集団が掲げる「自力建設」のスタイルは、人々に愛され大切に使い続けられる建物を育んでいます。このような手法で公共施設を「自分たちの場所」に変えていくことで、新しい公共空間が生まれると思いました。

柱列は、日時計のように時を刻み、建物に陰影を与えています。中庭に立てられた三本の柱は、中庭も建物に取り込む仕掛けとして機能し、あるときはステージの背面となって、内庭も内部空間として使えるように内と外の境界を自由にします。外部空間を内部に引き込むことによって建築は無限に外に広がります。

きちんとしたメンテナンスが、建物が愛され続けていることを伝えますが、南国のパッシブデザインとして、屋根一面を覆ったパーゴラにウッドローズやブーゲンビリアを這わせることを維持できなかったことが訪問者には残念でした。How architecture learn after they’re build.

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