オタミエミ礼拝堂

Architecture

オタミエミ礼拝堂は、オタニエミ工科大学(現アアルト大学)の敷地内にある、工科大学の学生の為の礼拝堂です。設計はフィンランドの建築家カイヤ&ヘイッキ・シレン夫妻。キャンパスの森の中、煉瓦壁で囲まれた四角いスペースの中に、シンプルな四角い礼拝堂が配置されています。

オタミエミ礼拝堂オタミエミ礼拝堂

オタニエミ工科大学は、建築家アルヴァ・アアルトが1949年の全体計画コンペで勝利した総合大学です。2011年から「アアルト大学」と呼ばれています。アアルト大学は、ヘルシンキ工科大学(1849年創立)、ヘルシンキ経済大学(1904年創立)、ヘルシンキ美術大学(1871年創立)の3つの大学が合併して出来た美術・デザイン・建築学部(Aalto ARTS)、ビジネス学部 (Aalto BIZ)、化学技術学部 (Aalto CHEM)、電気工学部 (Aalto ELEC)、工学部 (Aalto ENG)、理学部 (Aalto SCI)の6学部体制の大学です。

オタミエミ礼拝堂オタミエミ礼拝堂

祭壇に相当する正面は大きな開口部になっていてクロスは建物の外に森を背景に立てられています。煉瓦積の躯体に木とスティールブレースを組み合わせた、軽快なハイブリッドトラスで屋根を架構しています。大学のチャペルらしい、質素でシンプルな構造に好感が持てます。

オタミエミ礼拝堂オタミエミ礼拝堂

チャペルはほぼ北を向いて建てられていて、祭壇に向かって背面になる南側は「透光不透視」のハイサイドライトになっています。クロスは北庭を見る方向にあるので、祭壇に向かうと正面の庭は明るく、樹々も草花も南側に位置する会衆席を見ています。北庭を活かした巧なデザインです。

トラスで構成した架構空間の妻壁は天井と同じ木の素材色ですが、レンガ積以外の壁は「黒」く仕上げられていました。このことも全体の構成を明解にしていると思います。

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