Salk Institute details

Architecture

ソーク博士はポリオ・ワクチンの開発で有名な細菌学者です。また、計画時のサンディエゴの市長がポリオ罹患者であったことも手伝って、個人的にサンディエゴへの研究所誘致が進められたそうです。美しい研究所にしたかったソーク博士は、「芸術家のピカソを招いてもいいような研究所を」という肝いりで、ペンシルヴァニア大学のリチャーズ医学研究棟を見て、その設計者であるルイス・カーンに設計を依頼しました。

敷地はカリフォルニア大学サンディエゴ校の隣で、計画時はカーンによるゲストハウスも建設予定だったそうですが、建つことはありませんでした。海に向かって右側の棟が1963年、左が1967年に建てられたものです。

建物は、正東西軸に対象形で計画されていて海は西側になります、ルイス・バラガンが、プラザと表現する中庭空間は東西に抜ける海風のルートになっています。この印象的な中庭のデザインに、最後まで悩んだ建築家ルイス・I・カーンは、友人の建築家ルイス・バラガンに、アドバイスを求めたそうです。

カーンは、友人の建築家バラガンを現地に招きました。バラガンは現地に立つと、即座に言ったそうです。「ここには何も置くべきではない。ただのプラザになるべきだ」「そうすればここは、空へのファサードになるだろう」と言ったそうです。カーンもまた、すぐにバラガンのデザイン意図を理解し、このような細く長い水路があるだけの、中庭のデザインとなりました。

コンクリート打ち放しの素材色に、木材建具はチークを使っています。部位によって建具は様々ですが、日除けのルーバー、雨戸状のメクラの框組、ガラス框戸と、開口部を環境調整装置としています。

コンクリート打ち放しの塊でデザインされていますが、全体としてポーラスにできていると思いました。外部空間は、影をつくり、風を通す空間構成になっています。

タイトルとURLをコピーしました