Pavillon Le Corbusier 1967

Architecture

ル・コルビュジエは、晩年、自分のための展示場を設計するチャンスをスイス最大の都市チューリヒで得ます。このチャンスは、スイスのアート収集家で、コルビュジエの絵画や家具のファンだった30代のハイジ・ウェーバーがもたらしました。ウェーバーは、チューリヒ湖沿いの公有地に、市から50年間の建築権を得て美術館が完成します(1967年)。その後この展示場は、2014年春以降は市の所有となり「パビリオン・ル・コルビュジエ」と改名されて公開されています。

このパビリオンには、実現されなかった「アーレンバーグ美術館」の構想が実現されています。「アーレンバーグ美術館」は、スウェーデン人コレクター テオドール・アーレンバーグ氏がル・コルビュジエに依頼した美術館で、実現せずに終わったプロジェクト(1959年~1962年)です。ピカソ、マティス、ル・コルビュジエの美術作品を展示するためのスペースを、ストックホルムの海上に建てるという条件の下、ル・コルビュジエは構想を練り、この案を作成しました。

FLC25048A アーレンバーグ美術館 立面図 © FLC/ADAGP

海の上にピロティで支えられて建ち、陸から橋を渡って美術館に入り、スロープでまず2階に上がり、1階に下りてくる、という順路となっています。2階は、ホール、カフェ、事務室などがあり、半分ほどは吹き抜けになっています。そして、1階は、ピカソ、マティス、ル・コルビュジエの三人の芸術家のための3つの展示室にゆるやかに分かれています。寸法はモデュロールを生かした、2.26m×2.26mのグリッドで構成され、1階部分の外壁は主にカラフルなエナメル板で、2階はガラス面を多くすることで明るい空間を作っています。1962年にはすでに計画案はまとまっていたが、海上につくるという計画に対して、許可が下りず、実現にはいたりませんでした。なお、この計画案を引き継いで実現させたのが、ル・コルビュジエ最晩年の作である展示施設《ル・コルビュジエ・センター(人間の家)》であり、チューリッヒの湖畔にカラフルな姿を見せています。

https://www.galerie-taisei.jp/gallery/ahrenberg.html
Pavillon Le Corbusier

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