Paimion Parantola 1933

Architecture

パイミオのサナトリウムは、1928年に要綱が発表されたコンペでした。翌1929年にアールトによる設計案が1等に入選して、1929年に着工、1933年に完成しました。2015年まで、トゥルク大学付属の総合病院として使われたあと、現在は建物の2,3階のみ、マンネルヘイム(フィンランドの元軍人で大統領)によって設立された、児童福祉団体の活動の場として使用されています。

建物の一部が一般公開されています。オリジナルの病室が見学用に残されています。アアルト初期の代表作ですが、北欧でモダニズム建築が注目されるきっかけとなった作品と言われています。アアルトは、家具や照明器具も一緒にデザインしています。

サナトリウムとは、結核治療のための長期滞在施設のことで、当時はまだ有効な薬剤が開発されていなかったため、日当たりや空気など環境の良い場所に建てられることが多く、ここに来る結核患者は、最低でも6カ月という長期滞在を強いられたことから、建物の中は、フィンランドの暗く寒い冬も乗り越えられるように、日光をイメージした黄色い床や明るい色が採用されています。

エントランスキャノピーの軒天は「黒」でした。入院と退院のときにしか見上げることはないと思いますが、暖かい色彩でデザインされている内部の色彩計画を際立出せる効果を感じました。

高架水槽を突き抜けて煙突が見えます。煙突の排熱を利用して水槽の水を予熱しています。

アアルトと妻のアイノが、このサナトリウムのために製作した安楽椅子。「パイミオ・チェア」と呼ばれるアルヴァ・アアルトの傑作。

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