Myyrmäen kirkko 1984

Architecture

フィンランドで最も美しい光の教会と称えられる、ユハ・レイヴィスカの代表作、ミュールマキ教会(Myyrmäen kirkko)1984年に完成したミュールマキ教会の神秘的な光は、天窓と壁のスリットから木漏れ日のように差し込む自然光と、真っ白な壁に反射するやわらかな光によって生まれています。

レンガの素材色と白でまとめられた外観は、つつましやかでおとなしく、内部の豊かさを思うととてもおしゃれなあり方だと思いました。すっかり「なんでもない建物」としてそこにあります。

「光と音楽の建築家」とうたわれた、ユハ・レイヴィスカ。音楽家でもあり、ピアニストでもあったユハ・レイヴィスカは「建築と音楽は、最も密接な関係にある芸術」だと語ります。「建築も音楽も、人間の存在する次元や感覚と呼応し、我々の理解を超えた無限の宇宙を経験できる空間。その連続する空間の重なりを創りだす芸術なのです」

ユハ・レイヴィスカ自らがデザインした「浮遊する照明」は、シェードを何枚も重ねることで光が反射し合い、特別な輝きを放っています。「インテリアは、光を奏でる楽器」という彼の言葉から、浮遊する照明は、時に光の音符のようにも見えてきます。

ピアノの旋律で空間を創り上げてゆくというユハ・レイヴィスカ。その建築には、生命の光と同じように、まばゆい音楽が流れているのです。まるで、あの大きなパイプオルガンをユハ・レイヴィスカ自身が奏でているかのよう。

https://fika10.com/Finland/trip_fi_22.html

建物内部に入ると、光と音で彩られた静かで豊かな空間がそこにあります。

Myyrmäen kirkko
Myyrmäen kirkko
ミュールマキ教会 平面・壁の構成図

ユハ・レイヴィスカがデザインした照明器具が、空間に音符のように漂い、スリットとトップライトから自然光が室内に導かれています。室内は全て「白」ですが、スリット壁の裏側、会衆席からは見えない面にカラーパネルが仕込まれていてその演色効果で「白」の壁が彩られます。

Myyrmäen kirkko

ミュールマキ教会の内装は、一口で表現すると「白」ですが、それが太陽の反射光で演色されてさまざまな表情を見せますが、「白い壁」も、部分によって、木材の目透かし化粧張りの調子を変えているため、横から当たる光でできる「影」がテクスチュアを変えて、模様の違いが豊かな色に変わります。

さらに祭壇周りでは、空中に浮いたタピストリーが、透過するフィルターとなって、空間に奥行を持たせています。なんとも言えず柔らかく、他に類のない優しい白い壁の質感は、製材したままの木材の粗面にペンキを塗ったものでした。この壁は、施工中、沢山塗料を吸ったことと思いますが、そのリッチな塗膜が「塗装」を超えて、質感を伴った結果だと思いました。


タイトルとURLをコピーしました